第1編 物質の状態

2章 物質の状態変化

1エネルギーと粒子の運動

2物質の三態と状態変化

3気体の物質

 

 エネルギーと粒子の運動

【エネルギーと粒子の運動】

水に熱を加えると,水の温度が上がる。モーターに電気を流すとモーターが回転する。熱や電気のようにものに運動(仕事)をさせる能力をエネルギーという。

物質は粒子の集まりなので,物質に熱を与えた場合,粒子は高温ほどエネルギーを得るのでより活発に動く。この熱による粒子の運動を〔 熱運動 〕という。

 

【熱運動と分子間力】

 物質をつくっている粒子はその温度に応じた熱運動をするが,粒子間には互いに集まろうとする力(引力)もはたらいている。

 分子間にはたらく引力を特に〔 分子間力 〕という。分子間力の強さは,分子の種類によって異なり,一般的に質量の大きい分子ほど分子間力が強くなる。分子間力が弱い分子は互いに離れやすい(ばらばらになりやすい)。

 粒子にはたらく分子間力と熱運動は温度によってそのバランスが変わってくる。低温では,〔 分子間力 〕の影響が大きくなるので,粒子は互いに集まる。高温では〔 熱運動 〕の影響が大きくなるので,粒子は互いに離れようとする。

 

例題 高温の上限と,低温の下限はあるのかどうか考え,理由とともに述べよ。

 

 高温ほど粒子の熱運動が大きくなるので上限はない。粒子の運動が完全に停止すると,それ以下に冷やすことはできないので下限はある。(-273℃)